カムパネルラはそのきれいな石を一つまみ、手のひらに広げ、
指できしきしさせながら、夢のように言っているのでした。
「この砂はみんな水晶だ。中で小さな火が燃えている。」
「そうだ」どこでぼくは、そんなことを習ったのだろうと思いながら、
ジョバンニもぼんやり答えていました。
河原の小石は、みんな透き通って、確かに水晶やトパーズや、
またくしゃくしゃの皺曲をあらわしたのや、
また稜から霧のような青白い光を出す鋼玉やらでした。
ジョバンニは走ってその渚に行って、水に手を浸しました。
けれどもそのあやしい銀河の水は、水素よりももっと透き通っていたのです。
それでも確かに流れていたことは、二人の手首にぶつかってできた波は、
美しい燐光を上げて、ちらちらと燃えるように見えたのでも分かりました。



「銀河鉄道の夜」
7.北十時とプリオシン海岸より
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カットbyレイス


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