アトムの 反抗


我慢ができない!
人間めっ

 アシモフのロボット三原則には、第一条人間を傷つけてはならない、殺してはならない、とあり、第二条は、第一条に反しない限り人間の命令をきかなければならないと続き、第三条は、第一条第二条に反しない限り自分の身を守らねばならないと、終わる。
 この三原則はロボットの本能として組み込むのは最適と思われるが、アトムが描かれた当時にはまだ知られておらず、アトムの世界では適用されていない。
 その代わり、ロボット法があり、1)ロボットは人を傷つけたり殺してはならない、2)ロボットは人に尽くすために生まれたものである、3)ロボットは作った人を父と呼ばなくてはならない、4)ロボットは何でも作れるがお金だけは作ってはならない、5)ロボットは無断で海外へ出てはならない、6)男ロボットと女ロボットが入れ替わってはならない、7)無断で顔を変えたり別のロボットになってはならない、8)大人のロボットが子供のロボットになってはならない、9)人間が分解したロボットをロボットが組み立て直してはならない、10)ロボットは人間の家や道具を壊してはならない、と紹介されてある。(「青騎士」より)
 しかし、これは法律であって、ロボットがそのようにプログラムされているわけではないのである。ロボットにこの法律を犯す意志があればできるし、人間に反抗することができるのです。
 ロボットが、人間の意に反することをするなんて怖いですね。
 アトムもロボット法を犯した行動をとったことがあります。「海蛇島」、「幽霊製造機」、「悪魔の蜂」参照されたし。第五条を破ってます。「レッドクロス」では第7条を、第10条にいたっては「マッドマシーン」をはじめ多くの建物を壊したり、穴をあけたりしています。他にも「ブロンX」では人間の命令に反する行動を取ってます。
 しかし、これらの行動は人間のことを思ってこその行動なので、決して人間に敵対する反抗ではないのです。
 ところが「青騎士」では、とうとう人間に怒りを燃やし、敵対する反抗を見せます。
 反抗の理由は、迫害、差別です。(その対象はロボットで、私はロボットと人間を同一視しませんので、そのテーマを人間に置き換えて読み取ってます。)
 今までも似たような迫害を受けたことがありますが(「フランケン」参照)、我慢してきました。「青騎士」では堪忍袋の緒が切れたようです。
 青騎士、ブルーボンは怒りから、プログラムされてなくとも憎悪の感情まで発展したようです。
 アトムは人間に対して怒りの感情を抱きましたが、憎悪までいたらず「人間を傷つけるのはよくないと思うけど(中略)もう人間の世界がいやになった」と、ぼやいてクーデターに参加しました。
 アトムは、あまりに理不尽な差別、あまりに残酷な迫害には、
逆らうのです。
 これは、アシモフのロボット三原則の第二条に反するという、大きな反抗です。アトムが人間に、敵意を抱くなんて、招くべかざる恐るべき事態です。
 差別、迫害の否定は手塚漫画でも多く扱われるテーマです。アトムを悲しませないよう、心しておきたいですね。
 そして、どの程度反抗するのかというと、兵器を壊すまでで、人間を傷つけることは極力避け、人殺しはもっての外でした。ブルーボンが人間に手を出そうとしたときも、止めました。(ちなみに「フランケン」では悪玉の人間に暴力をふるいました。もし、「青騎士」でも悪玉がブルグ伯爵と知ったら、彼に暴力をふるったかもしれません。)
 アトムは人間に敵意を抱きました。しかし、それは事態を変えたいと思う反抗で、人間をいらないと思う反抗ではありませんでした。アトムはまだ、人間を見限ってはいません。
 アトムは人間に反抗し、敵対しましたが、「火の鳥復活編」でロボットはロビタが人間に反抗するために自殺するよりかはましかもしれません。アトムの自殺なんて、悲しすぎる!!





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