アトムの七つの面白さ

7.ハッピーエンドとブラックエンド

アトムの数々のラストはハッピーであってハッピーでない。
事件の解決のために犠牲になる者も少なくない。ベムしかり、電光しかり、プルートゥしかり、ダムダムしかり。
アトムは事件の解決の喜びと同時に、失したものの悲しみに暮れることがよくあった。
モノクロではアトムもその一人となって、最終回を締めくくりました。
またその犠牲のあり方も、淋しくありながならもほんの少し救いがある…、そんなブラックでありながらのハッピーエンドもあるのです。

ロビオとロビエットは修復不可能なほどにつぶされたものの、二人は結ばれたかのように鼓動を打つ。
キノオはオリジナルは壊されても、コピーはまぎれもなくキノオとして在り続ける。
光子は白い惑星号となった。
植物人間は地球に紛れ込むために一輪の花となり、吹雪の中にぽつんとたたずむ。
植物人間はクラスメートたちとその秘密を分かち合うこととなりましたが、アトムたった一人が永遠に胸に刻んで去って行った者もいるのです。
「天馬族」のヌウ、「透明巨人」の花房理学士。アトムは天を仰いで、ずっと忘れないことを誓います。

犠牲は同じ犠牲でも、悪役のすさまじさは息を飲むほどでして。
バリバリー博士はクレオパトラに父と愛されながら、生き埋めにさせられた。こ、こわいっ!
「イワンのバカ」では、他愛のないロボットに看護されるために、空気も凍る月の夜に閉じ込められてしまった。この回は空気の雪がまるで幕のようで、特筆に価すると思います。
悪役としてざまあみろな最後に、死ぬまで逃れることのできない怖さ。それでいて、美しくもあるダイヤのようなブラックエンド。面白いですね。

それとラストにアトムの背中を見る場面がいくつかあるのでいくつか紹介しましょう。
「電光」のヒゲオヤジといっしょに階段を上りゆく背中も好きです。
「盗まれたアトム」ではウランといっしょにビル街を見下ろす背中なのですが、それは人間の未来を見下ろしているようです。
反対に「若返りガス」のみんなで空を見上げるラストも、みんなで未来を見つめているようで好きです。
「ロボット流し」のラストもアトムの背中で、ナレーションが切れずに終わるところがいいですね。「ブラックルックス」もしかり。
その中で「海蛇島」は絶妙です。
アトムを追っかけてきてくれた親子の無事を確認できた喜びと、二人を助けたことを隠すために会うことのできない悲しみがない交ぜになって、アトムの背中は切なさでいっぱいです。その場面は、言葉もなく、二人を見送るだけでなく、見送ってうつむくという二つの場面を同じカメラ位置からの流れなので、漫画なのにまるで映画のフィルムのようなシーンなのです。
END

「鉄腕アトム」の面白さを七つほどピックアップしましたが、いかがですか?
他にも、こんなところが面白いよというような点がありましたら、ぜひ教えてください。




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