第二章

 ある日、学校にすっごく可愛い女の子が転校して来るっていう噂を、子分どもから聞いた。
「で・・・・どこのクラスだ?」
「あ、ケン一とアトムのクラスらしくて・・・。」
「へぇ〜ケン一とアトムのクラスか。一度聞いて見ようかな。へへへ。」

「なぁケン一。今度、お前の所のクラスに女の子が来る噂、知ってるか?」
休み時間に、俺はアトムやタマ公に聞かれないように、ケン一と一緒に離れて聞いてみた。
「うん・・・知ってるけど・・?どうかしたの?」
「その噂、本当か?その女の子、何て言う名前なんだ?」
「え?あ、噂?まだ、確実性は無いけど・・・・
噂では名前は・・・えっと・・・・
確か『ルミコちゃん』って言う名前。ほら、前に、おじさんとクラスを見ていた子だよ。覚えているかい?」
「おい、ケン一、俺が記憶力悪いの、知ってるだろ?」
「ごめん、ごめん。・・・・でもアトムにはあまり言わない方がいい。何だか訳ありみたいなんだ。アトムがその噂の事を聞いてから、何だか、うつむいていてさ。元気が無いんだ。」
ケン一がいつもより真面目な顔で言ってきた。という事は大変な事なんだろう。
「分かった。俺、絶対喋らない。特にタマオには。」
「うん。その方がいい。あと、もし好きになったなら、早めに伝えておいた方が良いよ。じゃあ。」
さすが、ケン一だ。俺の事、見抜いていやがらぁ。

 ルミコちゃんって言うのかぁ・・・・可愛い子なんだろうなぁ・・・・・。
でも、何でアトムは元気がなくなるんだ?・・・・・アトムも知らないわけないんだからなぁ。

「こら!四部垣君!よそ見しないの!!」
「あ。すんません、先生。」
 うっかり、考えすぎて、ミドリ先生に怒られた。

 授業も終わって、帰る時間になった。
 帰り道がアトムと同じだから、一緒に帰ろうかと、アトムを探して、職員室の前まで来たら、扉の向こうに先生とアトムがいた。
 声がこっちにも聞こえてきたんで、思わず盗み聞きした。
「それで・・・・どうしてもと言うわけなんだ。」
「やっぱり、ルミコさんのおじさんでも、ダメだったんですか・・・。」

 何だか、例の転校してくるルミコちゃんの事らしいな…。でも、何だか、重大な話らしい。

「アトム。どうする?このままだと、お前が生きているという事、そしてロボットであった事が分かってしまう。ルミコさんは、多分悲しむだろう。別の意味でな。」
「ぼくがルミコさんに、恋心を持っていた事は、分かっていたと思います。でも、まさかこんな事になるなんて…。」

何だって?アトムが、恋!?

「ルミコさんも、お前が好きだと言っていたそうだ。それで、今回の転校を思いついたらしい。だが、アトム、わしもお前の恋心は分かっているつもりだ。何とかして、止めてみようと思う。」
「ありがとうございます。先生。」

や、やべぇ、アトムがこっちに来る!階段の所まで、走らなきゃ!盗み聞きしてたのがばれたら、大変だぞ!走れ!俺!階段まで突っ走るんだぁ!!

「では・・・・・・なさい・・。」
「はい・・・。」
 アトムと先生の会話が終わりそうになっていってた。

ヤバイ!まだ、階段の所まで、着いていない!もっと速く走らなきゃ!

ダダダダダダダダダダッ
 かなりの猛スピードで走りまくった。走る音も並みの音じゃない。こりゃ、ケン一との対決の時より速ぇぞ。

ガラガラガラッ
 アトムが職員室から出てきたらしい。少し、きょろきょろと、周りを見ていたような感じがこっちにも伝わってくる。

 はぁはぁ、階段の方まで、何とか間に合った・・・。俺、体育だけは、成績いいからなぁ。

「ん?誰かいたような気がするけど・・・。」

やっべ!ば、ばれたかな・・・?

「誰か他の先生が、いたのかなぁ?」

 良かった・・・。俺がいたのには気付いていないらしい。
「あ、おーい!アトムぅ!探したぞ。何だ、ここにいたのか。一緒に帰ろうぜ!」
 ちょっとわざとらしいけど、アトムを今見つけたように呼んだ。
「え・・・。あ、うん!帰ろうか。」

「それでね・・・ケンちゃん・・・算数の時間の時・・・すごくって・・・。」
アトムは何だか元気が無さそうに見えた。
「それから・・・・先生が、またペロを連れてきたんだよ。サイボーグ犬なのに、生きているんだ・・・すごいと思うなぁ・・・・ねぇ、四部垣のクラスでは・・・・・・」
「アトム。」
「なに?四部垣。」
「おい、アトム。『ゆめや』まで、行こうぜ。」
 話の途中で、アトムを「ゆめや」に誘った。
「え?『ゆめや』って、あの駄菓子屋さん?あそこ、もう時間的にやっていないんじゃないの?それに・・・学校帰りに行くのは、校則違反じゃ・・・・」
「うわぁっ!」
アトムの腕を掴んで、俺は走り出した。走り出したら、俺はケン一より速いと思ってる。
 ここの角を曲がって左に行って・・・・。まだやっていた!
「おーい!おばあさぁーん!いるかー?駄菓子くれよ!」
「はいはい・・・今行くから待ってて・・・。
 し、四部垣お坊ちゃま!」
「なんだよう。来ちゃいけないって、また言うのか?」
「は、はい・・・。四部垣様から、ご忠告が出ておりまして。」
 親父から・・・・何でだよ!!
「でもっ!親父が決めた事じゃんか!それに…それに…!」
「『四部垣様は、四部垣お坊ちゃまに全然かまってくれないのに』ですね?」
「そうだよ・・・・。」
「四部垣お坊ちゃまもお辛いですね。
 我慢なさいまし。我慢を。」
「う、うん・・・。それでさ、今回のオススメは?」
「ラムネのビーダマの色が他と違うものとか、あとは・・・最近、流行りだしたもので、なめると冷たくなる飴玉とかです。」
「じゃあ、そのビーダマ色違いラムネ!ラムネは二つで!」
「ラムネは『一つ』では、数えません。『一本』です。ちゃんと、学校で勉強したんですか?」
「えへへ・・・寝てたり、自習の時は野球とか。」
「坊ちゃまも、もう5年生ですよ。しっかり勉強しないと。」
「はぁい...。」
「はい。ラムネ二本で、二百円です。」
「サンキュー!じゃあな!おばあさん!!」

                                          次のページへ



   


女の子お絵かき掲示板ナスカiPhone修理